専門家コラム No.006
こどもの自己肯定感を育む
関わり方

はじめに

習志野市および近隣の市でご活躍中の専門家による、こそだて応援コラム。

今回は、子育て学び広場 にこあい 子育てアドバイザー acoさんによる、「こどもの自己肯定感を育む関わり方」についてのご提案です。

ご自身の日頃のがんばりをねぎらいながら、そしてお子さんのことを思い浮かべながら…ぜひご一読くださいね。

目次

みなさんは「自己肯定感」という言葉を聞いたことがありますか? 


私がにこあいの活動を始めて最初に開催したのが2021年1月、プラッツ習志野フューチャーセンターでのお楽しみDAYでおこなった「こどもの自己肯定感を育むワークショップ」でした。それ以来、自己肯定感を育むことの大切さを伝え続けています。 


今回は、自己肯定感を育む関わり方について、今まで出会った親子やうちの子のエピソードを交えてお伝えしていきたいと思います。 


1.自己肯定感って何だろう?

自己肯定感とは「ありのままの自分を好意的、肯定的に受け止められる感覚」で、どんな人にも大切なことです。自己肯定感が持てないことで、失敗したら立ち直れない、人に注意されたら自分を否定されたように感じて自分の存在を責めてしまう、自分の居場所が見つけられない、いつも自信がない…といったことになりがちです。引きこもりやいじめといった人間関係のトラブルに発展してしまうことも。 


2.自己肯定感と自信は違うもの 

このお話をすると「うちの子、自己肯定感が低いかも…」とお話される保護者がいます。友達の輪になかなかはいれなかったり、新しいことに挑戦するのが苦手だったり、自信のなさから積極的になれない様子から心配になるようです。でも自信がないことは自己肯定感が低いことに必ずしもつながっていません。 


3.友達の輪に入れなくてもOK

お友達の輪に入れない子の例でいうと、どんなふうに声をかければいいかわからないのかもしれないし、過去に断られて臆病になっているのかもしれません。そうだとしたら、少しずつ声をかけてみたり、誘ってもらったり小さな成功体験を積み上げていくことで自信はつきます。実は、1人で遊ぶのが好きという場合もあると思います。  


自己肯定感を持てている場合、どんな理由にせよ、友達の輪に入れない今の自分に「それでもOK」と思うことができます。そうすると、1人でいる時間もつらい思いをせず過ごすことができます。友達の輪に入りたいと本人が望んだ時には、自分のペースで前向きに行動していくことができるでしょう。


4.自己肯定感は、周りの人に認めてもらうことで育まれる

お子さんの自己肯定感を育むには、保護者も「それでもOK」と思っていることが必要です。「友達の輪に入れるあなたも入れないあなたもどっちも大好き!」と言葉や態度で示していくこと。 


なんとかしてあげたいと手出し口出ししたり、気を病んだりするよりも、今の状況にもOKをだして、求められた時にはちょっぴり手助けやアドバイスをするくらいがちょうどいいと思います。そんなふうに周りの人がそのままを認める姿勢が、こどもの自己肯定感を育みます。 


5.新しいことに挑戦できなくてもOK

新しいことに挑戦しない場合も同様に「それでもOK」と自他ともに認めてほしいと思います。裏を返せば慎重だったり、1つのことに飽きずに取り組めたりといういい部分が見えてくることもあります。「やってみたら楽しかった」と思える経験を本人が積んでいくのを、保護者はおおらかに見守る姿勢が大切です。


6.失敗しても次があると知ること

また新しいことに挑戦するには「失敗しても大丈夫」と思えているかどうかが関わっています。言い換えれば失敗してしまう自分にもOKがだせるか、です。 


そのためにまずは保護者が失敗を先回りして止めないことが大切です。また失敗したらできるだけ責任を取らせて自分でリカバリーできることを知ること、次に生かせることを知ること。こんな経験の積み重ねが自己肯定感を育みます。


7.コップの水をこぼしたらどうする? 

例えば、自分でコップに入った飲み物を運びたがってこぼしてしまったときは「大丈夫だよ」「この雑巾で拭いてね」「次はゆっくり運ぼう」などと伝えます。 


「もう運ばないで!」「だから言ったのに!」と責めるのはNGです。 


8.つい失敗を責めてしまうことも 

私もわが子が小さなころはずっとそれを意識して繰り返し伝えてきました。ですが、大きくなるにつれ対等に感じて、つい失敗を責めてしまうことがあります。 


先日8歳の娘が、料理のお手伝いをしていた時のこと。 


その日のメニューはカレーで娘にはニンジンのカットをお願いしました。一口大にカットするとばかり思っていたら、まさかの、こまか~い粗みじん切りに! 


それを見た私は思わず「なにこれ!小さすぎだよ、これじゃ溶けてなくなっちゃうじゃない!」と言ってしまいました。娘は「いっぱい切りたかったんだもん…」としょんぼり。「しまった、言い過ぎた」と思いフォローの言葉に迷っていると、娘が自分で「次は大きく切るね!今日はニンジン嫌いな子も食べられるカレーだよね。」と言ったのです。 


その言葉に、私はハッとし助けられ「そうだね。また一緒に作ろうね。」と伝えました。(ニンジン嫌いな子はうちにはいないのだけど…それは突っ込まないでおきました。) 


これは家での出来事ですが、学校などでイヤなことがあったときも、こうして娘は自分を励まし気持ちを立て直しているのだと頼もしく思いました。 


9.日々の声かけや関わりを大切に 

保護者も人間なのでいつも完璧ではいられません。感情が先に出てしまう時があるのは私だけではないはず。 


それでも日々の声かけや関わり方の積み重ねで、こどもが自分で自分を肯定できる力を育んでいけると思います。ぜひお子さんにできる限りたくさん「そのままのあなたが大好き」と伝えていってもらえたらいいなあと思います。

日常のコミュニケーションを通して
「そのままのあなたが大好き」
をたくさん伝えてあげたいですね

10.自己肯定感を育むために必要な親の心構え 

大切な自己肯定感を育むために必要な親の心構えとして、 

「みんなと同じじゃなくても大丈夫」 

「失敗しても次にどうするかが大切」 

「そのままのあなたが大好き」 

こんな想いを持って関わっていけばいいと思います。  


具体的な声かけの仕方は、講座でもお伝えしているので気になる方はぜひ参加してみてくださいね。ご希望により少人数でも開催いたします。すべてのこどもたちが自分を好きになって、自分を大切にして、いつか周りの人への優しい気持ちが溢れますように、と願っています。


2024年11月1日

子育て学び広場 にこあい 子育てアドバイザー aco

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2024年11月11日(月)には
千葉県習志野市で読み聞かせの会を開催♪

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場所 notocoro
参加費 1家族さま500円

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*編集後記*えみのわからお伝えしたいこと

こそだて世帯がかかえやすい悩みを軽減できるような情報をお届けしたく、保育のプロでもあり子育てアドバイザーでもあるacoさんにぜひ!と、コラムの依頼をさせていただきました。

上記のコラムには、こそだて中の多くのご家庭で「すぐに実践できる」内容がギュッと凝縮されています。


編集後記として、こそだて中のママの1人として大切だと考えていることを、せんえつながら付記させていただきます。


(1)こどもの失敗を受け入れられる状況で、チャレンジを見守ろう…!

「失敗を責めない」というポイントを知って、1つこころに決めたことがあります

それは、「失敗を怒らずに見守れる状況で、チャレンジしてもらおう」ということ。


例えば、危ないときや、失敗したときの被害が大きくなることが予想されるときで、なおかつ失敗の可能性が高そうな場合。

こうした場合は、「今回はママにやらせてね」と、こどもを傷つけない表現でやんわりと断ります。

逆に失敗しても許せる範囲の被害にとどまる場面では、どんどん挑戦させて成功/失敗(から立ち直る)体験を積ませてあげます。

このようにして「挑戦する場面」をえらぶことで、ある程度の安全を確保して保護者の精神的負担を減らしつつ、こどもたちの成長のための経験も大切にしていきたいな、と思いました。


(2)こどもの自己肯定感は、長期的な目線で育んでいく…!

こどもと毎日接していると、保護者がこころに余裕がなかったりイライラしていたりして、声かけの仕方を後悔する、ということは誰しもあると思います。

何度か対応を間違えたとしても、きっと大丈夫。

「自己肯定感を育まなければ」という考えにとらわれて、自分の言動に神経質になるよりも、おおらかに構えて「そのままのあなたが大好き」という愛情を伝えることができていれば、長い目で見て自己肯定感は育まれていくのではないかな?と、最近は感じています。


焦らず、のんびりと。

自分自身の自己肯定感も大切にしながら、こどもの自己肯定感も育んであげられたらいいな、と思います。


こどもも自分も大切にしながら、自分のための楽しみやほっとするリフレッシュタイムも、ときどきもてますように。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

えみのわ yoshimi

2024年11月1日

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