専門家コラム No.005
コンテナストック編 -編-:
So-na-ette♪
~食育・防災考えましょう~

はじめに

習志野市および近隣の市でご活躍中の専門家による、こそだて応援コラム。

今回は、食育・防災アドバイザーの工藤有里さんによる、「食育・防災」についてのご提案です。


この「食育・防災」については、4回にわたってお届けしていきます。

第4回(本コラム)は、第3回と2か月続けて 『新しい食料備蓄の方法』についてのお話です。

日頃からの「もしも」への備えを見直すきっかけとして…ぜひご一読くださいね。

目次

災害大国 日本。また 辛いニュースが流れました。

元旦の地震で 大きな被害を受けた 能登。今度は 大雨による 大きな被害がありました…。

ご無事であった方々の 体調は もちろん、心が折れてしまうのでは と心配です…。

被災された皆さまには 心よりお見舞いを申し上げます…。


1.新しい備蓄方法『コンテナストック』

前回、非常用の食料品を保存する 新しい備蓄方法として『コンテナストック (宅内仕送箱)』を紹介させていただきました。

『コンテナストック』とは、消費期限を「品目ごと」ではなく「箱単位」で管理することで、作った箱の分量の食料品を備蓄することができる 画期的な方法です…!と お伝えしました。


今回は、『コンテナストック』というものを イメージしやすいよう、以下の内容について 具体的にお伝えしたいと思います。


(1)どのようなものを入れたらいいの…?

(2)箱は いくつ作ればいいの…?

(3)どのタイミングで箱を開ければいいの…?

(4)作る際の注意点と継続のポイントは…?


※ 「この通りに作りましょう~!」ということではなく、あくまでも❝参考❞として とらえていただければ幸いです。


2.コンテナストックの作り方

(1)どのようなものを入れたらいいの…?

コンテナストックは、災害などで ライフラインが途絶えた時など、いざというときにも食事ができるように 備えるものです。

ですから、調理の必要がないもの、または、簡単な調理で食べられるものを入れましょう。


コンテナストックのメリットを 最大限に生かすポイントは2つあります。

① 常温で保存できるもので 保存期間が 半年~1年くらいあるものを入れること

② 自分や家族が食べたいものを 入れること


例えば…

 

※ 一緒に入れておくと良いもの


長期保存食品も、今では 種類が多く お好みの味を選ぶことができます。ご家族で 試食をして、好きな味を見つけてみましょう。

ローリングストック(循環備蓄)
のイメージ図
(出典:いらすとや)

買い置きしている食料を、消費した分だけ補充して、備蓄を維持します

消費期限の管理は品目ごとに行います

コンテナストック(宅内仕送箱)
のイメージ図
(出典:いらすとや)

家族の分の食料を、まとめて箱で保管

消費期限の管理は箱単位で行います

(2)箱は いくつ作ればいいの…?

基本的には、「1箱=1日分」 と考えて作ります。

6日分を用意したいのなら 6箱、10日分を用意したいのなら 10箱…と、作る箱の数は 自分で決めることができます。

ただし、「たくさん 備蓄したい…!」と 12箱も作ろうとすると、中に入れるものが「12ヶ月以上 保存できるもの」と制限され、❝食べたいもの❞を入れることが 難しくなってしまいます…。


普段から ご家族がご自宅で食事をするご家庭では、冷蔵庫 や 冷凍庫にも 食材がたくさんあるでしょう。菓子パンなどを まとめ買いしているご家庭もありますね。

そうめん や パスタ などの乾麺や、袋麺やカップラーメンも 常備されていませんか…?

前回もお伝えしたように、❝ローリングストック(循環備蓄)❞ と ❝コンテナストック(宅内仕送箱)❞の 併用…、つまり 「良いとこ取り」をして、作る箱の数を調整しましょう。


3~4箱でもいいのですが、おすすめは 6箱(=6日分)です。

始める月に 6箱 いっぺんに作ってもいいですし、毎月1箱を 6ヶ月かけて作っても…、どちらでも大丈夫です。

家計簿と相談しながら、無理のない範囲で作りましょう!


(3)どのタイミングで箱を開ければいいの…?

もちろん、災害が起きて ライフラインが止まったら、遠慮なく開けてください!

電気、ガス、水道…どれかひとつが止まっても、いつも通りの食事は 難しくなります。

ライフラインが復旧するには 何日も…、いえ、何十日も かかるかもしれません。


それまでの期間、食べられるものから 順番に食べていきましょう。

 冷蔵庫の食材 や パンなど
 → 調理しなくても食べられるもの(コンテナストック)
 → 川の水などを使って 湯煎して温めて食べるもの
 → お湯(食用の水)を入れて食べるもの
 → 調理が必要なもの 

…と、ライフラインの復旧に合わせて、家中の食べられるものを集めて 無駄にしないよう 食べていきましょう。


もしも 避難しなければならないときは、コンテナストックを 可能な限り持って 避難所に向かいましょう。避難所には 食料は用意されていません。

❝炊き出し❞が始まるのは 被災後 4~5日経ってから…と言われています。

自分たちの食料は 自分たちで持って行くのがセオリーなのです。


…そして、

災害が起きなければ、毎月 月の始めに、一番最初に作った箱を開けます。

1箱目の中身を全部出し、空いた箱に 新しく購入した食料品を入れましょう。

開けた箱に入っていた食料品は、1ヶ月のうちに 全て食べきります。


アルファ化米や長期保存パンの中には、3~5年保存できるものもあります。保存期間を確認して 新しい箱に入れていただいても良いのですが、 味や作り方に慣れるため、 ご家族で 日常的に食べていただくことをおすすめします!


(4)作る際の注意点と継続のポイントは…?

① 保存方法と保存期間に気をつけましょう

箱に入れて 台所以外の場所で保管することを想定し、常温保存で何ヶ月もつのか、確認しながら作りましょう。


② 家族の好きなものを入れましょう

コンテナストック考案者の 高荷 智也 さんが、考案した当初『宅内仕送箱』と名付けたように、「仕送りをするイメージ」で、家族に喜んでもらえるようなものを選んで入れていくと、箱を作るときも、箱を開けるときも、少しワクワクしませんか…?

『防災』という ちょっとネガティブなイメージのある行為ですが なんだかポジティブに とらえられると思います。


③ 箱を開けたら 次の箱を開ける日までの間に 中の食料品を食べきりましょう

コンテナストックは、いざというときにも 食事ができるよう 備えるためのものですから、災害が起こらないうちは 新しい食料品に入れ替えをしていかなければなりません。

ローリングストックに比べて 保存期間の管理は楽になりますが、箱単位での管理は やはり必要なのです。

箱を開けることを忘れてしまわないよう、 マスキングテープ や 養生テープに「開封する日(6箱作った場合は、7ヶ月目の年月)」を記載して、箱の上部や側面に 貼っておきましょう。


3.コンテナストック まとめ

上記3つのポイントを押さえて 毎月 続ければ、常に 箱の分量の 消費期限内の食料品が 備蓄されていることになります。


❝理想❞としては、1箱=家族の1日分 と考えて、家族が 1日に必要とする量の食料品を 1箱に入れたいところですが、保管場所のことも考えなければならないので ハードルが高いですよね…。


「ちょっと難しいかも…」と思う方は、家族の1食分を入れたコンテナストックを 6箱作るところから 始めてみてください。

温めずに食べられる レトルトパウチのおかゆ/雑炊を人数分と、それぞれの好きなお飲み物、分けて食べられる お菓子…。たったこれだけの量でも、「 食べるものがある!」という❝安心感❞は 計り知れないものです。


試しに作ってみて…、試しに食べてみて…、「もう少しできるかも…!」と思ったら 箱の中に入れる食料品を増やしてみてもいいかと思います♪

最小限のコンテナストックのイメージ
(4人家族を想定:
2歳の幼児、0歳6ヶ月の乳児、夫婦)

1日分の食料を数箱準備するのが難しい場合は、お試し版として、最小限のストック(家族全員分の1食分 × 6箱)にトライしてみるのも◎

4.食料備蓄の重要性を考える

大地震は 必ず起きます。地球温暖化により 台風やゲリラ豪雨も 今まで以上に 起こりやすくなっています。日本国内で 災害が起きない場所はないと言っても 過言ではないでしょう。

「備えておいて 良かった…!」と思う日が、…来てほしくはないけれど…、きっと 来ます。


『コンテナストック(宅内仕送箱)』『ローリングストック(循環備蓄) 』 、ネットでのセット購入や、定期購入…など、いろいろな方法で備蓄することができます。

自分に合う方法を見つけて、ご家族のために、ご自身のために、食料品を備蓄していただきたいと思います…!


2024年10月1日

食育・防災アドバイザー 工藤有里

*執筆者紹介*

2024年10月1日時点

工藤さん主催の講座でつくることができる
防災ポーチ(So-na-ette【ZERO】)

飲み物とあわせておでかけ先に持参すれば
「もしも」のときにも安心です

*編集後記*えみのわからお伝えしたいこと

こそだて世帯に合った情報をお届けしたく、こそだて経験もある工藤さんにぜひ!と、コラムの依頼をさせていただきました。

こそだて中の多くのご家庭に「実践していただきたい」内容がギュッと凝縮されています。


編集後記として、こそだて中のママの1人として大切だと考えていることを、せんえつながら付記させていただきます。


(1)授乳中のご家庭で、コンテナストック備蓄の前にしておきたい「準備」

①備蓄の前の準備:お子さんに合った「液体ミルク」をみつける

こそだて中、特に乳児のいるご家庭においては、大人の食料品とあわせて、液体ミルクの備蓄を検討する方は多いと思います。

特に非常時には、母乳の量が減る、粉ミルクのためのお湯を準備することが難しい、など、さまざまな困難が予想されるため、液体ミルクがあると安心ですよね。


大切なのは、もしものときにも、お子さんが「ごくごく飲める」こと。

粉ミルクに比べて単価が高い液体ミルクですが、何種類かお子さんに「味見」をしてもらい、「好きな味の液体ミルク」を確認してから備蓄するのが理想的です。

「好きな味の液体ミルク」を外出時などに利用して、「飲み慣れた味」にしておくのも良いと思います。


②「液体ミルク」があればOK!…ではない?!

また、液体ミルクの場合も、粉ミルクと同様、哺乳瓶などの授乳器具の消毒が必要となります。

電気/ガス/水道が使えない状況でも授乳を続けられるよう、消毒のための水/薬剤もストックしておけると安心です(1週間分など、ご家庭で必要な量を確認保管しておくと◎)


また、商品によっては、缶にアタッチメント(+メーカー指定の乳首)をつけて直接飲める液体ミルクもあります。

ミルクで育てている方は普段使っている哺乳瓶などを活用する方が多いと思いますが、母乳育児の方は液体ミルクのほかに、非常時の授乳に必要なアイテムとして、哺乳瓶(もしくは液体ミルク専用のアタッチメント)/(成長段階に合った)乳首/消毒用の水・薬剤・容器なども忘れずに準備してくださいね。

(火/電気が使えない状況を考えて、授乳アイテムの消毒は水&薬剤で行うことを想定したほうが無難かと思います)


(2)非常時用の予備おむつは、コンテナストックがいいかも…?

非常用持ち出し袋などに入れているおむつのサイズ、今のお子さんに合っていますか?

実は、自宅で非常用に保管していた非常用セットのチェックが年に1回くらいの頻度だったため、気づかないうちにサイズアウトしていました。

似たようなご経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?


工藤さんがコラムに書いてくださっているように、「避難するときにコンテナストックを持参する」と考えると、毎月チェックするコンテナストックにおむつを入れておけば、避難所でおむつを使うことができますし、サイズアウトの心配もありません。

非常用のおむつストックは、コンテナストックと相性が良いかもしれません。

(話がそれますが、おむつと一緒に、おむつを捨てるための消臭ゴミ袋も、一緒にストックしておくと安心ですね。)



2回に渡ってお書きいただいている「コンテナストック編」。

などについては、「コンテナストック編 ー前編ー」で確認できます。


いつ起こるかわからない災害。

こどもも自分も大切にしながら、日頃から無理のない範囲で備えておいたら、安心感をもって日常生活を過ごせそうですね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

えみのわ yoshimi

2024年10月1日

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