専門家コラム No.004
コンテナストック -前編-
So-na-ette♪
~食育・防災考えましょう~

はじめに

習志野市および近隣の市でご活躍中の専門家による、こそだて応援コラム。

今回は、食育・防災アドバイザーの工藤有里さんによる、「食育・防災」についてのご提案です。


この「食育・防災」については、全4回にわたってお届けしています。

第3回(本コラム)、第4回と2か月続けて 『新しい食料備蓄の方法』についてのお話です。

日頃からの「もしも」への備えを見直すきっかけとして…ぜひご一読くださいね。

目次

1.食料備蓄、できていますか…?

1月1日、能登半島の 最大震度7、M7.6の地震から始まった 令和6年…。

各地で起きる地震や台風、そして ゲリラ豪雨…。災害大国 日本は とても危険な状況です。

いま、まさに 台風10号が日本を縦断中。お住まいの地域は大丈夫でしょうか?

ご家族や ご親戚、お友達…が 被害を受けてしまったという方も いるかもしれません。

被害が最小限であることをお祈りするとともに、被災された方には 心よりお見舞い申し上げます…。


第1回の「食料備蓄編」で、

…というお話をしました。


ローリングストック(循環備蓄)や 非常用食料の平常時活用(長期保存食を普段から活用すること)は、意外と難しいですよね。


どちらも、頭では理解できていても 実際に続けるのは なかなか難しいと思います。

実は…、

このコラムを書いている 私自身、ローリングストックが上手にできなくて、3~4年ほど前に 「どうすればいいんだ~?」と 頭を抱えていたひとりです…(笑)。


2.ローリングストックの難しさ

ローリングストックとは、「普段食べている 少し日持ちする商品を多めに購入して、消費期限が近いものから食べ、新しいものを購入して備蓄する。」という 備蓄方法ですが、ローリングストックには いくつかの❝壁❞があります。



などなど…。ローリングストックを継続することは、なかなか難しいことなのです。

ローリングストックのイメージ図
(出典:いらすとや)

3.新しい備蓄方法 『コンテナストック』

ローリングストックにくじけた私は、「同じ悩みを抱える人はいないのか…?」「解決策はないのか…?」と探し、とある備蓄方法に たどり着きました。

備え防災アドバイザー 高荷 智也さん考案の 『コンテナストック』です。(当時は、「宅内仕送箱」という名前で紹介されていました。)


『コンテナストック』とは、消費期限を「品目ごと」ではなく 「箱単位」で管理する、家庭向けの備蓄方法です。

 ① 1つの箱の中に 保存期間が一定期間ある 複数の品目の食料品を入れ、箱を閉じる。

 ② 数か月間(作ろうとする箱の数の月数)、 ①を繰り返す。

 ③ 最初に作った箱を開けて 食料品を出し、その食料品を1か月で消費する。空いた箱には 新しい食料品を入れて閉じる。

 ④ 毎月 ③を繰り返す。


箱の大きさや 中に入れる食料品の量は自由です。作った箱の分量の食料品が、常時 備蓄されている…ということになります。


例えば、1日分程度の食料品が入った箱を 6か月かけて 6箱作る場合を考えてみましょう。

災害がなければ、今月作る箱は6か月後に開く箱…。つまり、6か月後の自分(家族)に ❝仕送り❞をするようなイメージです。

そして、6箱=6日分の食料品が常に備蓄されているので、いざというときには、6日間は 食料に困らずにすむ…ということになります。

コンテナストックの例
(3人家族1日分)

保管場所や家族構成などに応じて、
備蓄する食料品の量は自由に変えられます

コンテナストック(宅内仕送箱)の
イメージ図
(出典:いらすとや)

数か月後の自分/家族のために、
仕送りをするイメージで
収納場所/必要なものの量に合わせて
複数の箱に食料品を保管します

4.『コンテナストック(宅内仕送箱)』のすすめ

(1)メリット

ローリングストックが上手にできず 頭を抱えた私が 「これは 画期的…!ローリングストックにつまづいた人 みんなに教えてあげたい!」と思った『コンテナストック(宅内仕送箱)』という備蓄方法…。


『コンテナストック』のメリットは、次のとおりです。



などなど…。また、箱の作り方によっては 更なるメリットもありそうです…!


(2)継続のポイント

コンテナストックの継続のポイントは、ローリングストックと同様、やはり「消費」です。

上記3.の③にある通り、箱に詰めた 食料品を1か月で消費することが カギとなります。

ポイントは、箱の中に入れる食料品の量に注意すること。多すぎると消費しきれない可能性があり、消費期限が過ぎてしまい、サイクルが崩れてしまいます。


そして、空になった箱には できるだけ早く 新しい食料品を入れましょう。非常事態は いつやってくるか わかりませんので…。


5.『ローリングストック』と 『コンテナストック』とを 組み合わせる

コンテナストックは、ローリングストックの多くのデメリットを解消してくれる備蓄方法ですが、万能なわけではありません…。


箱の数を増やそうとすると、箱の中には 保存期間の長い食料品を入れる必要が出てきます。

6箱作る場合は6か月以上、12箱作る場合は1年以上 、保存期間があるものを箱に入れなければならない…ということです。

例えば、平常時によく食べているお菓子が 保存期間4か月程度のものだと それを箱に入れることができず、食べ慣れないものを入れてしまう…。食べ慣れないものを入れた結果、その箱を開けた月の消費が 難しくなる…というデメリットが生じてしまいます。


保存期間がやや短い食料品(白米や、スナック菓子、紙パック飲料など)は、コンテナストックではなく、ローリングストックの方が適している…ということですね。


つまり、

ローリングストックとコンテナストックを 組み合わせて、❝良いとこ取り❞をして 備蓄することが、最良の策…ということになります!



次回、第4回では、ローリングストックに適した食材、コンテナストックに適した食材などを例に挙げながら、より イメージしやすいお話をしたいと思います♪


2024年9月1日

食育・防災アドバイザー 工藤有里

*執筆者紹介*

2024年9月1日時点

工藤さん主催の講座でつくることができる
防災ポーチ(So-na-ette【ZERO】)

飲み物とあわせておでかけ先に持参すれば
「もしも」のときにも安心です

*編集後記*えみのわからお伝えしたいこと

こそだて世帯に合った情報をお届けしたく、こそだて経験もある工藤さんにぜひ!と、コラムの依頼をさせていただきました。

こそだて中の多くのご家庭に「実践していただきたい」内容がギュッと凝縮されています。


編集後記として、こそだて中のママの1人として大切だと考えていることを、せんえつながら付記させていただきます。


(1)コンテナストックに一緒に入れたい、こども用アイテム

こそだて中、特に乳児のいるご家庭においては、大人の食料品とあわせて、下記のアイテムを入れると安心です。


非常時には、母乳の量が減る、粉ミルクのためのお湯を準備することが難しい、など、さまざまな困難が予想されます。

このため、個人的にはお子さんの好みの味の液体ミルクを備蓄しておくことをおすすめしたいと考えています。

なお、液体ミルクはメーカーにより保存期間が異なるため、保存の際には注意が必要です(缶のほうが保存期間が長い傾向)。


(2)家族全員分の「ごほうび」で、非常時も笑顔に

非常時は、普段と異なる状況の中で緊張して過ごすため、大人もこどももストレスがたまり、余裕がなくなりがちですよね。

そんなときこそ、好きなものでほっと一息。

上記コラムで工藤さんが書いてくださっているように、コンテナストックの中に❝ごほうび的なもの❞を入れることにより、リラックスして笑顔になれる時間を作れるように、あらかじめ用意しておくことも大切だと考えています。


溶けてしまう可能性があるチョコレートを避けつつ、こども/家族/自分が好きな、少し日持ちする食料品(飲み物/お菓子/おかず/果物など)を、コンテナストックの中に追加しておく。

こうして非常時にもささやかなたのしみを作っておくことで、家族で笑顔になれる瞬間が1日の中に少しでもあると、非常時のつらさをほんの少しですが緩和できるのではないかと思います。



2回に渡ってお書きいただいている「コンテナストック編」。

などについては、「コンテナストック編 ー編ー」で確認できます。


いつ起こるかわからない災害。

こどもも自分も大切にしながら、日頃から無理のない範囲で備えておいたら、安心感をもって日常生活を過ごせそうですね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

えみのわ yoshimi

2024年9月1日

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