専門家コラム No.001
食料備蓄編:
So-na-ette♪
~食育・防災、考えましょう~
はじめに
習志野市および近隣の市でご活躍中の専門家による、こそだて応援コラム。
記念すべき第1回目は、食育・防災アドバイザーの工藤有里さんによる、「食育・防災」についてのご提案です。
この「食育・防災」については、4回にわたってお届けしていきます。
第1回は、「 “食べること” って とっても大切…!」というお話です。
「もしも」のときに、ご家族と安心して過ごすために…ぜひご一読くださいね。
目次
1.災害が起きたら…を考える
地震や台風などの大きな災害で問題になるのが、電気・ガス・水道などの「ライフラインが止まること」です。
震度6強の地震が起きた場合を考えてみましょう。
停電により家電が使えなくなり、地中の配管がずれて ガスや水道、下水道も使えなくなります。
食事の支度、洗濯、お風呂、水洗トイレの使用などができなくなってしまいます…。
供給する施設や配管の設備などが大きく被災すると すぐには復旧できません。 1週間以上 不自由な生活が続きます…。
洗濯やお風呂など、いくつかのことは我慢できるかもしれませんが、食事と排泄はどうでしょう…?
誰かが用意してくれるまで 我慢できますか…?
2.災害 と こどもの食事
人が生きていくためには エネルギーが必要です。 エネルギーがなければ 動くことができません。
大人は エネルギーをある程度 からだに蓄えることができるので 1~2日食べなくても動けますが、こどもは違います。
「おなかがすいたァ~!」「何か食べるもの無いのォ…?」「おなかがすいて動けな~い!」などなど、容赦なく訴えます。 赤ちゃんは 大きな声で泣いてミルクを求めます。
これは、こどもは 大人に比べて一度に食べる量が少ないうえに、からだにエネルギーを蓄える機能が 発達していないからです。
育ち盛りのこどもは 朝食・昼食・おやつ・夕食…の1日4回、乳幼児は 1日6~8回、新生児にいたっては 1日8~12回ものエネルギー補給が必要なのです。
更に こどもは、 エネルギーだけでなく、 “成長に必要な栄養素” や “体調を整える栄養素” などを 食事から摂取しますから、毎日の食事はとっても大切…!
災害が起きたからといって こどもの成長は止められませんし、環境の変化などから 体調を崩すかもしれません。
「災害時にも きちんと食事をとる」 ということが 本当に大切なのです…!
3.食料備蓄 を フェーズフリーで考える
(1)備蓄が大切と聞くけれど…
災害が起きてから スーパーやコンビニに駆け込んでも、欲しいものを手に入れるのが難しいことは想像できます…。
日頃から、非常時に必要な食料を備蓄しておきましょう…!
では、小さなこどもがいるご家庭で 非常時のために備蓄しておく食料は、どのようなものが良いのでしょう…?
近年、長期保存できる非常食がたくさん市販されています。 アルファ化米 や フリーズドライ、レトルトのおかず、缶詰め、パウチされたパン…等々。 このような商品を買っただけでは、普段 手料理が多いご家庭では あまり有効的ではありません。
「備蓄をしている」という安心感には繋がりますが、いざというときに使えないことがあります。
長期保存できる非常食の例
手前(左):パウチされたパン
手前(右):レトルトのおかず
中央:缶詰め
後ろ:アルファ化米
こどもは食べ慣れないものを嫌がります。非常時であっても、食べたことがないものは食べてくれないのです。
経験則で「これは安全な食べ物だ」と判断できる大人と違って、まず 拒絶することで危険から逃れようとする「本能」のようなものでしょう。
…ですから、非常時にしか食べないようなものをたくさん備蓄していても、無駄になってしまう可能性があるのです。
(2)「フェーズフリー」という考え方
平常時と非常時との差がないようにすることを、「フェーズフリー」と言います。
①平常時に食べているものを備蓄する。
②備蓄用の商品を平常時にも食べる。
どちらも 「フェーズフリー」です。
例えば、
①・・・普段食べている 少し日持ちする商品を多めに購入して備蓄しておき、消費期限が近いものから食べ、新しいものを購入して備蓄する。
例)
レトルト食品(カレー/牛丼の具など)
菓子類(クッキー/せんべいなど)
ほか
②・・・長期保存できる商品を家族で味見して、気に入ったものをまとめて買って備蓄し、定期的に食べて、残りが半分ほどになったらまた購入する。
例)
缶詰(シーチキン/サバ/缶ジュースなど)
長期保存ごはん(アルファ化米など)
ほか
①は、日常の食料を多めに購入して管理する『ローリングストック(循環備蓄)』という方法です。
商品の数が増えると 管理するのが大変になるデメリットはありますが、スーパー等で購入できる商品なので 経済的な負担は少ないというメリットがあります。
②は、少し高価な商品になるので 経済的な負担がありますが、ネットなどのサブスク(定期購入)を利用することで 管理する手間が軽減されます。
ローリングストックのイメージ図
(出典:いらすとや)
どちらの方法も、重要なのは 「備蓄するだけではなく、食べて(消費)、購入(補充)する」ということです。
普段の食事に取り入れることで、こどもにも「安心して食べられるもの」と認識され、有効的な「非常時の備え」となることでしょう!
4.食料と一緒に備蓄しましょう♪
食料と一緒に備蓄したいものが、いくつかあります。
● ミネラルウォーター
人間の50~60%は “水分” です。尿や汗で失われていく水分は、飲み水や食品などから 補給しなければなりません。
大人1人あたり 1日に約2Ⅼ必要です。 できれば 500mⅬのペットボトルで 備蓄しましょう。
● カセットコンロ&カセットガス
食事は、やはり温かいものを用意したいですよね。
ガスが使えない時でも、カセットコンロがあれば 加熱や湯せんをして温めることができます。
● 非常用トイレセット
トイレを我慢したり、トイレに行かなくて済むよう食事や水を我慢したりすることは、体にいいことではありません。
水洗トイレは使えなくても、便器にビニール袋をかぶせて非常用トイレとして使うトイレセットが市販されています。
食料と同様、最低7日分は備蓄しておきましょう!
この他、ペーパー類などの日用品も日頃から少し多めにストックしておけば、更に安心ですね…!
2024年6月1日
食育・防災アドバイザー 工藤有里
*執筆者紹介*
執筆者
:食育・防災アドバイザー 工藤有里どんな人?
:こそだて経験(現在20代の息子/娘)あり、習志野市在住活動内容
:習志野市を中心に、食育・防災の知識を広め、防災意識の底上げを目指して活動中。
団地いどばたラボ(袖ヶ浦団地エリア)では毎月、防災ポーチ(So-na-ette【ZERO】)をつくる講座を定期開催中。連絡先
:下記InstagramアカウントのDMへ
https://www.instagram.com/yuri.kudou.18
2024年6月1日時点
工藤さん主催の講座でつくることができる
防災ポーチ(So-na-ette【ZERO】)
飲み物とあわせておでかけ先に持参すれば
「もしも」のときにも安心です
*編集後記*えみのわからお伝えしたいこと
こそだて世帯に合った情報をお届けしたく、こそだて経験もある工藤さんにぜひ!と、コラムの依頼をさせていただきました。
こそだて中の多くのご家庭に「実践していただきたい」内容がギュッと凝縮されています。
編集後記として、こそだて中のママの1人として大切だと考えていることを、せんえつながら付記させていただきます。
(1)乳児:母乳/ミルクにかかわらず、液体ミルクを!
母乳/ミルクどちらの方も、液体ミルク(と、専用アタッチメントなどの授乳用具)の味見&ストックをしておくと安心。
ママの体調不良/服薬/飲酒などの場面でも便利です。
(2)幼児:食べ慣れたレトルト食品を多めにストック!
外出時に幼児むけのレトルト食品を試して、息子が好きな味を複数ストックしていました。
幼児食をつくるのがしんどいとき、こどもの食欲がないときなどにも便利でした。
(3)こどもが好きなお菓子もストック!
こどもが大好きなお菓子は、ちょっとしたエネルギーになるうえ、こどものこころの安定にも役立ちそうなので、定番のお菓子は多めにストックしています。
(4)おむつ/保湿は多めにストック!(おむつは1週間分あると安心、という情報も)
非常用トイレと同じく、おむつも必需品…!忘れがちですが、お肌を守る保湿も大切です。
未開封品を1つずつ、常にストックしていました。
いつ起こるかわからない災害。
無理のない範囲で備えておいたら、安心感をもって日常生活を過ごせそうですね。
また、大切なこどもを災害時にしっかりと守るために大事なのは、保護者が元気であること。
保護者のための備蓄も万全にしたいところです。
そのために必要な知識/情報について、工藤さんに別のコラムとして今後まとめていただく予定です。(おたのしみに!)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
えみのわ yoshimi
2024年6月1日
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